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【ビートルズの優美なカバー】【自然な和訳/曲解説】The Beatles-Till There Was You【独自の魅力】

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ビートルズの「Till There Was You」は、1957年のブロードウェイミュージカル「The Music Man」のためにメレディス・ウィルソンによって書かれた曲です。ビートルズはこの曲を1963年にカバーし、彼らのアルバム「With The Beatles」に収録しました。ポール・マッカートニーの甘いボーカルとアコースティックなサウンドが特徴的で、ビートルズがブロードウェイの曲をカバーした唯一の例となっています。この曲は、ビートルズの繊細さと音楽的多様性を示す素晴らしい例であり、ファンにとっては彼らのレパートリーの中でも特別な位置を占めています。


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和訳

There were bells on a hill
But I never heard them ringing
No, I never heard them at all
Till there was you

丘の上には鐘があった
でもその鐘の音を聞いたことはなかった
そう、全く聞いたことがなかったんだ
君が現れるまでは

単語
bells: 鐘
hill: 丘
ringing: 鳴っている音

 

There were birds in the sky
But I never saw them winging
No, I never saw them at all
Till there was you

空には鳥がいた
でもその鳥たちが羽ばたく姿を見たことはなかった
そう、全く見たことがなかったんだ
君が現れるまでは

単語
birds: 鳥
winging: 羽ばたくこと

 

Then there was music and wonderful roses
They tell me in sweet fragrant meadows
Of dawn and dew

それから音楽があり、素晴らしいバラがあった
それは甘い香りの草原で僕に語りかけたんだ
夜明けと朝露のことを

単語
wonderful: 素晴らしい
fragrant: 香りの良い
meadow: 草原
dawn: 夜明け
dew: 朝露

 

There was love all around
But I never heard it singing
No, I never heard it at all
Till there was you

周りには愛が溢れていた
でもその愛が歌っているのを聞いたことはなかった
そう、全く聞いたことがなかったんだ
君が現れるまでは

単語
love all around: 周りに溢れる愛
singing: 歌っている

 

Then there was music and wonderful roses
They tell me in sweet fragrant meadows
Of dawn and dew

それから音楽が流れ、素晴らしいバラが咲いていた
甘い香りの草原で、僕に語りかけてくれたんだ
夜明けと朝露のことを

 

There was love all around
But I never heard it singing
No, I never heard it at all
Till there was you
Till there was you

周りには愛が溢れていたけれど
その愛が歌う声を聞いたことはなかった
そう、全く聞いたことがなかったんだ
君が現れるまでは
君が現れるまでは

曲解説

The Beatlesビートルズ)の「Till There Was You(ティル・ゼア・ワズ・ユー)」は、彼らの1963年のアルバム『With The Beatles』に収録された、情感あふれるバラードです。この曲は、ミュージカル『The Music Man』からのカバーで、ポール・マッカートニーPaul McCartney)がリードボーカルを務め、ビートルズの多才な音楽性を示す一曲となりました。今回は、この楽曲の背景やビートルズがどのようにしてこの曲を選び、自分たちのスタイルに取り入れたのか、そしてその魅力について詳しく解説します。

アルバム情報

「Till There Was You」は、ビートルズの2枚目のスタジオアルバム『With The Beatles』に収録されています。このアルバムは、1963年11月にリリースされ、ビートルズがイギリス国内で急速に名声を高めつつあった時期にリリースされました。アルバムには彼らが影響を受けたアメリカンポップやR&B、ロックンロールのカバー曲がいくつか収められていますが、「Till There Was You」はそれらとは一線を画した、洗練されたラテン風のバラードです。

この曲は、ビートルズのレパートリーの中でも特にロマンチックでメロウなトーンを持ち、バンドが幅広い音楽スタイルに対応できることを示しています。

「Till There Was You」の誕生と背景

「Till There Was You」は、1957年にブロードウェイで初演されたミュージカル『The Music Man』で披露された楽曲で、作曲はメレディス・ウィルソン(Meredith Willson)によるものです。ミュージカルの中で、ヒロインであるマリアンが恋愛によって初めて人生の美しさを感じるようになった心境を表現するロマンチックなバラードとして登場します。

ビートルズがこの曲を選んだ理由の一つは、ポール・マッカートニーがこの楽曲に特に魅了されていたからです。彼は、母メアリーが生前に様々な音楽を聴かせてくれたことから、古いポップソングやスタンダードナンバーに親しんでおり、この曲もその一つでした。ポールは「Till There Was You」をビートルズのセットリストに加えることで、バンドが単なるロックンロールバンドではなく、幅広い音楽性を持つグループであることを示したいと考えていました。

制作秘話 - アコースティックサウンドの美しさ

「Till There Was You」の特徴は、その優雅なアコースティックアレンジです。ジョージ・ハリスンGeorge Harrison)がクラシックギターを使用しており、その演奏が曲にラテン風のエレガントな雰囲気を加えています。ハリスンの繊細で滑らかなギタープレイが、ポール・マッカートニーの柔らかく感情豊かなボーカルを引き立てており、曲全体に美しい調和をもたらしています。

また、ビートルズの特徴的なハーモニーは、この曲でもしっかりと生かされており、ジョン・レノンJohn Lennon)とジョージ・ハリスンによるコーラスがマッカートニーのボーカルを支え、曲に深みを与えています。リンゴ・スターRingo Starr)のドラムは非常に控えめで、曲全体の穏やかで優雅なトーンを壊さないよう、繊細なパーカッションを提供しています。

歌詞に込められたメッセージと解釈

「Till There Was You」の歌詞は、愛を知ることで世界の美しさに気づくというテーマを描いています。冒頭の「There were bells on a hill, but I never heard them ringing(丘の上に鐘があったけど、私はそれが鳴る音を聞いたことがなかった)」というフレーズは、愛によって心が開かれ、日常の中で見逃していた美しい瞬間に気づくことを表現しています。

「Then there was music and wonderful roses(そして音楽があり、素晴らしいバラが咲いていた)」という詩も、愛が人々にとって世界をどれだけ鮮やかにするかを象徴的に語っています。歌詞全体を通して、愛の力で人生がより豊かになり、心が癒されるというメッセージが伝わってきます。このシンプルでありながらも詩的な歌詞は、ビートルズがカバーした中でも特に感動的な要素を持っています。

音楽シーンへの影響と成功

「Till There Was You」は、ビートルズが1950年代のロックンロールやR&B以外にも多様な音楽スタイルを取り入れ、洗練されたサウンドを持つことを示した重要な楽曲です。この曲はビートルズのライブでも頻繁に演奏され、特に1964年にアメリカの『エドサリヴァン・ショー』に出演した際に演奏されました。このパフォーマンスは、アメリカでのビートルズ人気をさらに加速させるきっかけとなり、彼らが単なるロックバンドではないことをアメリカの視聴者に印象づけました。

ビートルズは、この曲を通じてポップスやスタンダードナンバーにも強い関心を持っていることを示し、彼らの音楽的な幅広さをファンにアピールしました。このアプローチは、後にビートルズがさらに多様な音楽ジャンルを探求していく布石となり、彼らの音楽的進化においても重要なステップでした。

雑学:エドサリヴァン・ショーでの演奏

1964年2月9日、ビートルズアメリカの人気番組『エドサリヴァン・ショー』に初出演し、約7300万人がこのパフォーマンスを視聴しました。その際に「Till There Was You」を演奏したことは、多くのアメリカの視聴者に彼らの多才さを強く印象づけるものでした。ポール・マッカートニーが美しいバラードを歌い、ジョージ・ハリスンのギターソロが際立つこの演奏は、ロックンロールバンドとしてのビートルズのイメージを超え、洗練されたポップグループとしての一面を見せた瞬間でした。

まとめ

The Beatlesの「Till There Was You」は、彼らの音楽的な柔軟性と深い感性を示す一曲であり、ロックンロールの枠を超えた音楽性を持つバンドであることを証明しました。この曲を通じて、彼らがどれほど幅広い音楽ジャンルに精通していたかを知ることができ、彼らの成長と多様性を感じることができます。

「Till There Was You」は、ビートルズのバラードとして今もなお多くのファンに愛され続ける楽曲であり、彼らの多才さを象徴する一曲です。