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ビートルズの「Back In The U.S.S.R.」は、1968年のアルバム『ザ・ビートルズ』に収録された曲です。チャック・ベリーの「Back in the U.S.A.」とビーチ・ボーイズの「California Girls」をパロディにしたこの楽曲は、ロックンロールに根ざした疾走感あるナンバーで、ソビエト連邦への帰還をテーマにしています。
和訳
Flew in from Miami Beach, B-O-A-C
Didn't get to bed last night
On the way, the paper bag was on my knee
Man, I had a dreadful flight
和訳:
マイアミビーチからBOACで飛んできた
昨夜は寝ることができなかった
途中、紙袋を膝の上に置いて
ひどいフライトだったよ
単語:
BOAC:ブリティッシュ・オーバーシーズ・エアウェイズ・コーポレーション(旧イギリス海外航空)
dreadful:ひどい、恐ろしい
イディオム:
didn't get to bed:寝ることができなかった(眠る時間がなかったことを表現している)
I'm back in the U-S-S-R
You don't know how lucky you are, boy
Back in the U-S-S-R
和訳:
僕はUSSR(ソビエト連邦)に戻ってきた
君がどれだけ幸運か、分かっていないだろうね
USSRに戻ってきた
単語:
lucky:幸運な
イディオム:
You don't know how lucky you are:君は自分がどれだけ幸運か分かっていない(幸運の大きさを理解していないことを表現している)
Been away so long, I hardly knew the place
Gee, it's good to be back home
Leave it 'til tomorrow to unpack my case
Honey, disconnect the phone
和訳:
長い間離れていたので、この場所がほとんど分からなかった
ああ、家に帰ってくるのは本当にいいね
スーツケースを開けるのは明日にしよう
ハニー、電話のプラグを抜いて
単語:
hardly:ほとんど~ない
unpack:荷を解く
disconnect:切断する、(プラグを)抜く
イディオム:
leave it 'til tomorrow:それを明日までにしておく(後回しにすることを表現している)
I'm back in the U-S-S-R
You don't know how lucky you are, boy
Back in the U-S, back in the U-S-S-R
和訳:
僕はUSSR(ソビエト連邦)に戻ってきた
君がどれだけ幸運か、分かっていないだろうね
USSRに戻ってきた
Well, the Ukraine girls really knock me out
They leave the West behind
And Moscow girls make me sing and shout
That Georgia's always on, my, my, my, my, my, my, my, my, my mind
和訳:
ウクライナの女の子たちは本当に僕を魅了する
彼女たちは西洋を忘れさせてくれる
そしてモスクワの女の子たちは僕を歌って叫ばせる
ジョージアのことはいつも僕の、僕の、僕の、僕の、僕の、僕の、僕の心にある
単語:
knock me out:魅了する
leave behind:置き去りにする、忘れさせる
sing and shout:歌って叫ぶ
イディオム:
knock me out:魅了する、感動させる(比喩的に使用)
on my mind:心にある、気にかけている(常に考えていることを表現している)
Oh, come on
Hey, I'm back In the U-S-S-R
You don't know how lucky you are, boys
Back In the U-S-S-R
和訳:
僕はUSSR(ソビエト連邦)に戻ってきた
君がどれだけ幸運か、分かっていないだろうね
USSRに戻ってきた
Well, the Ukraine girls really knock me out
They leave the West behind
And Moscow girls make me sing and shout
That Georgia's always on my, my, my, my, my, my, my, my, my mind
和訳:
ウクライナの女の子たちは本当に僕を魅了する
彼女たちは西洋を忘れさせてくれる
そしてモスクワの女の子たちは僕を歌って叫ばせる
ジョージアのことはいつも僕の、僕の、僕の、僕の、僕の、僕の、僕の心にある
Oh, show me 'round your snow-peaked mountains way down South
Take me to your daddy's farm
Let me hear your balalaikas ringing out
Come and keep your comrade warm
和訳:
ああ、南の雪をかぶった山々を案内してくれ
君のお父さんの農場に連れて行って
バラライカの音色を聞かせて
そして仲間を暖かくしてくれ
単語:
snow-peaked:雪をかぶった
balalaika:バラライカ(ロシアの弦楽器)
comrade:仲間
イディオム:
show me 'round:案内してくれ(周りを見せてくれ)
I'm back In the U-S-S-R
Hey, you don't know how lucky you are, boy
Back in the U-S-S-R
和訳:
僕はUSSR(ソビエト連邦)に戻ってきた
君がどれだけ幸運か、分かっていないだろうね
USSRに戻ってきた
Oh, let me tell you, honey
Hey, I'm back
I'm back In the U-S-S-R
Hey, it's so good to be home
Yeah, back In the U-S-S-R
和訳:
ああ、言わせてくれ、ハニー
ヘイ、僕は戻ってきた
僕はUSSRに戻ってきた
ああ、家に帰るのは本当にいいね
そう、USSRに戻ってきたんだ
曲解説
「Back in the U.S.S.R.」は、ザ・ビートルズが1968年にリリースしたアルバム『The Beatles』(通称「ホワイト・アルバム」)に収録された楽曲で、ポール・マッカートニーが書いたエネルギッシュなロックンロールナンバーです。この曲は、アメリカのロックンロールのアイコンであるチャック・ベリーやビーチ・ボーイズへのオマージュとともに、冷戦時代のソビエト連邦をユーモラスに描いた歌詞が特徴で、リリース当時から大きな話題を呼びました。
以下では、この楽曲の背景、制作秘話、歌詞のテーマ、そしてその後の評価や影響について詳しく解説していきます。
楽曲の背景
「Back in the U.S.S.R.」は、ポール・マッカートニーが中心となって制作した楽曲で、アメリカのロックンロールやビーチ・ボーイズのサウンドに影響を受けたポップで軽快なナンバーです。タイトルは、チャック・ベリーの「Back in the U.S.A.」という楽曲へのオマージュであり、ビーチ・ボーイズの「California Girls」にインスパイアされたアレンジも施されています。ポールは、ビーチ・ボーイズの明るくハーモニー豊かなサウンドを取り入れながら、冷戦時代の緊張感を逆手に取ったジョークとして、ソビエト連邦を称賛するような歌詞を書きました。
この曲は、ビートルズがインド滞在後にレコーディングされた楽曲の一つであり、その時期はメンバー同士の関係が徐々に緊張を帯びていた時期でもありました。特に、ポール・マッカートニーがバンド内での主導権を強く握るようになり、それが他のメンバー、特にジョージ・ハリスンやリンゴ・スターとの対立を引き起こしていました。
制作秘話
「Back in the U.S.S.R.」のレコーディングは、1968年8月22日から23日にかけてアビー・ロード・スタジオで行われました。しかし、レコーディング中に緊張が高まり、リンゴ・スターがスタジオを去るという出来事が起こりました。リンゴは、バンド内での自身の役割に対する不満や、ポールのレコーディングに対する厳しい指示に対してストレスを感じていたため、一時的にビートルズを離れることを決意しました。
リンゴの不在により、ポール・マッカートニーがドラムを担当することになり、他のメンバーであるジョン・レノンとジョージ・ハリスンもそれぞれ他の楽器を分担して録音を行いました。実際、このセッションでは、ジョンとジョージがバッキングボーカルやギターを担当し、ポールがリードボーカル、ベース、ドラム、そしてピアノを演奏しました。これにより、結果的に「Back in the U.S.S.R.」は、実質的にポールの主導によって制作された楽曲となりました。
特に、ビーチ・ボーイズ風のボーカルハーモニーは、この曲の際立った要素です。ビーチ・ボーイズのリーダーであるブライアン・ウィルソンが得意とした多重ハーモニーを取り入れ、軽快なロックンロールに爽やかさを加えています。ビートルズはアメリカの音楽に深く影響を受けており、特にポールはビーチ・ボーイズのファンだったため、この楽曲ではそれが顕著に表れています。
歌詞のテーマ
「Back in the U.S.S.R.」の歌詞は、冷戦時代における東西の緊張を背景にしながら、ソビエト連邦(U.S.S.R.)を舞台にしたユーモラスで風刺的な内容になっています。曲の中で、主人公はアメリカや西側諸国を一時的に離れ、ソビエト連邦に戻ってくるという設定です。アメリカの「カリフォルニアガールズ」や「ホットドッグ」といった典型的なイメージに対抗する形で、ロシアの「モスクワの女の子」や「ジョージアの女の子」が登場します。
歌詞の一部を見てみましょう:
Flew in from Miami Beach BOAC
Didn't get to bed last night
On the way the paper bag was on my knee
Man, I had a dreadful flight
この冒頭の部分では、主人公がマイアミビーチからソビエト連邦に飛行機で戻ってきた状況を描いています。BOACは、かつてのイギリスの航空会社「British Overseas Airways Corporation」の略称で、主人公が飛行機で西側から東側に戻る様子が描かれています。
I'm back in the U.S.S.R.
You don't know how lucky you are, boy
Back in the U.S.S.R.
サビでは、「U.S.S.R.(ソビエト連邦)」に戻ってきたことを歓喜しているように歌われていますが、これは冷戦時代における西側と東側の対立を軽いジョークにしています。当時のアメリカやイギリスのリスナーにとって、ソビエト連邦は敵対国でしたが、ビートルズはこの緊張感を逆手に取り、あえてポップで親しみやすい表現を使って「祖国」に帰ってくる喜びを風刺しています。
さらに、「カリフォルニア・ガールズ」に対抗する形で「ウクライナやモスクワの女の子」が登場する歌詞もあり、ソビエトの女性がアメリカの女性と同じくらい魅力的だというユーモアが込められています。
楽曲の影響と評価
「Back in the U.S.S.R.」は、リリース当初から話題を集め、そのエネルギッシュなサウンドとユーモラスな歌詞が広く受け入れられましたが、一部では物議を醸しました。特に冷戦下の西側諸国では、ソビエト連邦に対する揶揄や風刺と受け取られる部分もあったため、批判的な意見もありました。一方で、ザ・ビートルズは政治的メッセージというよりは、音楽を通じたユーモアと遊び心を表現しようとしていたと考えられます。
また、ソビエト連邦自体でも、この曲は一般的に広まることはありませんでしたが、1980年代のペレストロイカの時期には徐々に注目されるようになりました。ビートルズはソビエトでも人気が高く、一部の人々にとって「Back in the U.S.S.R.」は西側からの意外な賛辞として受け取られました。
音楽的には、ポール・マッカートニーがチャック・ベリーの「Back in the U.S.A.」やビーチ・ボーイズの「California Girls」を巧妙に取り入れたことで、この楽曲はアメリカのロックンロールの伝統に対するオマージュと見なされています。特にビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンはこの曲を聞いて大いに喜び、称賛したとされています。
また、ビートルズのキャリアの中でも、政治的なメッセージや社会風刺を取り入れた楽曲は少なくないため、「Back in the U.S.S.R.」もその一環として、ユーモアを交えつつ社会を風刺した作品と捉えられています。
雑学
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リンゴ・スターがレコーディングセッション中にバンドを一時脱退していたため、この曲のドラムはポール・マッカートニーが担当しています。リンゴが戻った後、ポールが書いた手紙には「You're the best rock 'n' roll drummer in the world.」(君は世界で最高のロックンロールドラマーだ)と書かれていたと言われています。
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この曲のビーチ・ボーイズ風のコーラスは、ポールがビーチ・ボーイズのサウンドに大きく影響を受けていたため、ブライアン・ウィルソンの多層的なボーカルハーモニーを意識して作られました。
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「Back in the U.S.S.R.」は、ソビエト連邦が崩壊した後、ロシア国内でビートルズの人気が急激に再燃した際に、改めて多くのロシア人に評価されました。