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【全歌詞和訳】Radiohead-Airbag【洋楽1997年】

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イギリスのロックバンド・レディオヘッド(Radiohead)が1997年にリリースした名盤『OK Computer』。そのオープニングトラックを飾るのが「Airbag」です。テクノロジーと人間との関係、疎外感、そして現代社会への批判を貫くコンセプトアルバムの幕開けとして、まさに象徴的な存在感を放っています。

この記事では、「Airbag」がどのようなアイデアや背景、サウンド・アプローチによって生み出され、どんなメッセージを発信しているのかを深堀りしてご紹介します。レディオヘッド好きの方はもちろん、新たな音楽的刺激を求める方や、現代社会の問題について考えたい方にもぴったりの内容です。ぜひ最後までご覧ください。


www.youtube.com

和訳

In the next world war
In a jackknifed juggernaut
I am born again
In the neon sign scrolling up and down
I am born again

次の世界大戦の中で
急停車する巨大トラックの中で
僕は生まれ変わるんだ

ネオンサインが上下に流れる中で
僕は再び生まれ変わる

単語:
next world war: 「次の世界大戦」。まだ起きていない未来の戦争を指している。
jackknifed: 「ジャックナイフ状態になる」。特に大型トラックが急ブレーキやスリップで折れ曲がる状況を指す。ここでは比喩的に使われている可能性もある。
juggernaut: 「巨大なもの」「圧倒的な力」。本来はインドの神「ジャガンナート」の山車が語源で、破壊的な力を持つ存在を表す。
born again: 「生まれ変わる」「新たに始める」。宗教的な意味合いで「精神的に再生する」ことも指す。
neon sign: 「ネオンサイン」。輝く広告看板のことで、都市的なイメージを連想させる。
scrolling up and down: 「上下にスクロールする」。文字や映像が流れていく動きを表す。

イディオム:
jackknifed juggernaut: 「急停車する巨大トラック」。比喩的に「制御不能な大きな力」を表している可能性がある。
born again: 「生まれ変わる」。困難や絶望から新たに立ち上がる再生を表現する重要なフレーズ。
neon sign scrolling up and down: 「上下に流れるネオンサイン」。現代的で機械的な世界の中での再生を暗示している可能性がある。

 
In an interstellar burst
I am back to save the universe

星間の爆発の中で
僕は宇宙を救うために戻ってきた

単語:
interstellar: 「星間の」「恒星間の」。宇宙空間や星々の間に関連することを指す。
burst: 「爆発」「破裂」。ここでは星間での強烈なエネルギーや現象を指している。
back: 「戻る」「帰る」。ここでは「再び現れる」というニュアンス。
save the universe: 「宇宙を救う」。比喩的に壮大な目的や使命感を表している。

イディオム:
interstellar burst: 「星間の爆発」。宇宙規模の出来事を象徴するフレーズ。比喩的に「大きな変化」や「新たな始まり」を示している可能性もある。
back to save the universe: 「宇宙を救うために戻ってきた」。英雄的な使命感を強調する表現。映画や文学でよく使われるフレーズで、大きな目的に向かうことを表している。

 
In a deep, deep sleep of the innocent
I am born again
In a fast German car
I'm amazed that I survived
An airbag saved my life

無垢なる者の深い深い眠りの中で
僕は生まれ変わる

速いドイツ車の中で
生き延びたことに驚いている
エアバッグが僕の命を救ったんだ

単語:
deep, deep sleep: 「深い深い眠り」。ここでは心の平安や無意識の状態を指している可能性がある。
innocent: 「無垢な」「純粋な」。罪や過ちがないことを表す。
born again: 「生まれ変わる」「再生する」。新たな始まりや精神的な変化を象徴する表現。
fast German car: 「速いドイツ車」。ポルシェやBMWなどの高性能な車を暗示している可能性がある。
amazed: 「驚いている」「感嘆している」。予期せぬ出来事に対する感情を表す。
survived: 「生き延びた」「生き残った」。危険な状況を乗り越えたことを表現。
airbag: 「エアバッグ」。車の安全装置で、事故の際に命を守るもの。

イディオム:
deep, deep sleep of the innocent: 「無垢なる者の深い眠り」。純粋さや無防備な状態を詩的に表現している。
I'm amazed that I survived: 「生き延びたことに驚いている」。危険を乗り越えた後の感謝や驚きを表すフレーズ。
an airbag saved my life: 「エアバッグが僕の命を救った」。物理的な命の救済を直接的に表現しているが、比喩的に「予期せぬ救い」を示している可能性もある。

 
In an interstellar burst
I am back to save the universe
星間の爆発の中で
僕は宇宙を救うために戻ってきた
 
In an interstellar burst
I am back to save the universe
星間の爆発の中で
僕は宇宙を救うために戻ってきた
 
In an interstellar burst
I am back to save the universe
星間の爆発の中で
僕は宇宙を救うために戻ってきた
 

「Airbag」基本情報


1. 革新的サウンドが示す“新たなロックの形”

「Airbag」で最も注目すべきは、エレクトロニカトリップホップの影響が色濃く反映されたサウンドです。特にドラムビートとギターサウンドの実験性がバンドの独創性を証明しています。

● ドラムビートの再構築

DJ Shadowの作品(アルバム『Endtroducing.....』など)から着想を得た手法によって、ドラムパートを細かくサンプリングし再構築。これにより生まれた躍動感のあるビートは、ロックの枠を超えた革新的なリズムを生み出しました。

● ギターをシンセ化するエフェクト

ディレイやリバーブ、さらには変調系エフェクトを駆使することで、従来のギターサウンドにはない“シンセサイザー的”な音色を作り上げています。この手法が、後のレディオヘッドの実験的なアプローチの先駆けとして評価されているのです。


2. 自身の事故体験から生まれた深遠な歌詞

「Airbag」の歌詞は、ボーカリストであるトム・ヨークが若い頃に巻き込まれた自動車事故からインスピレーションを得ています。命を救ったエアバッグへの感謝や、その裏にある技術依存への皮肉など、人間の脆さと再生の可能性が表現されているのです。

Airbag = “Last Night a DJ Saved My Life” へのオマージュ?
タイトルには、1983年のディスコヒット「Last Night a DJ Saved My Life」(Indeep)をもじった要素があり、「技術によって救われた命」に対する皮肉を込めています。

  • 「An airbag saved my life」という直接的なフレーズ
    → テクノロジーの恩恵を表す一方で、過度な依存による危険性も示唆。
  • 「In a fast German car, I’m amazed that I survived」
    → 高性能な車によって助けられる現実と、それがもたらすリスクの同居を象徴しています。

3. テーマは“技術と人間の関係性”と“再生”

『OK Computer』全体を貫くテーマである「技術と人間の関係性」。その幕開けを担う「Airbag」は、テクノロジーが救う命と、それに付随するアイロニーが見事に描かれています。

  • 人間の脆さ:どんなに優れた技術があっても、人は事故に巻き込まれる可能性から逃れられない。
  • 再生の希望:事故であっても、生き延びたことによる新たな視点や感謝の念が生まれる。

この二面性こそが、「Airbag」を通じてレディオヘッドが問いかける大きなテーマ。テクノロジーが進化し続ける今の時代にも、強く刺さるメッセージではないでしょうか。


4. 収録アルバムとEPでの位置づけ

● 名盤『OK Computer』(1997)

音楽史に名を刻む一枚として語り継がれるアルバム。そのオープニング・トラックが「Airbag」です。リスナーを一気にレディオヘッドの世界観へと引き込む強烈なインパクトがあります。

OK Computer

OK Computer

  • XL Recordings
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● EP『Airbag / How Am I Driving?』(1998)

アルバム『OK Computer』リリースの翌年に発売されたEP。リードトラックとして収録され、バンドの革新的なサウンドとコンセプチュアルな一面をさらに広く世に知らしめることとなりました。

Airbag How Am I Driving (Dig)

Airbag How Am I Driving (Dig)

  • ノーブランド品
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5. 時代背景と文化的インパク

「Airbag」が世に出た1990年代後半は、インターネットや携帯電話が急速に普及し始め、音楽制作にもデジタル技術が本格的に取り入れられるようになった時代。サンプリングやデジタル編集はロック・バンドにとってはまだ斬新でしたが、レディオヘッドは早い段階から積極的に取り入れていました。

  • インターネットの普及
    → 情報流通スピードの加速。音楽シーンもグローバルに。
  • デジタル制作ツールの普及
    → サンプリング技術が広がり、ロックとエレクトロニカが混ざり合う環境が形成。

レディオヘッドはこうした潮流の中で、新たな音楽的手法を模索。結果、「Airbag」はサウンド面でも時代を象徴する一曲となりました。


6. 制作秘話:ドラムとエフェクトの妙

  • ドラムサンプリング
    フィル・セルウェイのドラムパートを徹底的に切り刻み、再構築。この手法こそが「Airbag」のグルーヴ感を生み出す最大のポイントです。
  • ギターのエフェクト処理
    ディレイやリバーブなどを駆使し、空間的で浮遊感のあるサウンドに。ギターがシンセサイザーのように響くことで、楽曲全体にサイケデリックな雰囲気を与えています。

7. 雑学・トリビア

  1. タイトルの由来
    「Airbag」はIndeepの曲「Last Night a DJ Saved My Life」へのアイロニカルなオマージュとされています。
  2. 衝撃的な歌詞表現
    「jackknifed juggernaut(折れ曲がった大型トラック)」という表現は、交通事故の惨事をリアルにイメージさせます。
  3. DJ Shadowの影響
    ドラムビートを再構築するアイデアは、DJ Shadowのサンプリング技術からのインスピレーション。90年代のヒップホップやエレクトロニカの流れをロックに巧みに取り入れました。

まとめ:現代社会への問いかけと新たな音楽体験

「Airbag」は、レディオヘッドが提示した“ロックの新たな可能性”と、“現代社会におけるテクノロジーと人間の関係性”を象徴する楽曲です。革新的なサンプリング技術や実験的なサウンドアプローチは、今聴いても色あせることなく、その前衛性に驚かされるでしょう。

  • 人間の脆さと再生の可能性
  • 技術への依存とそのリスクへの皮肉
  • ロックを超えた新たな音楽スタイルの誕生

これらすべてが詰まった「Airbag」は、レディオヘッドの代表曲の一つであるだけでなく、音楽ファンはもちろん、社会問題に興味がある方にも考察のきっかけを与えてくれます。ぜひ『OK Computer』通して聴きながら、当時の社会背景やバンドの視点に思いを馳せてみてください。


こんな人におすすめ


あなたへの一歩

「Airbag」を通じて再確認できるのは、レディオヘッドが常に時代の先を見据えているバンドであるということ。人生の一瞬一瞬が技術と隣り合わせである今だからこそ、その恩恵とリスクを今一度考えるきっかけになるかもしれません。ぜひもう一度、あるいは初めて「Airbag」を聴いて、そのメッセージと音世界を体感してみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この曲の持つ魅力に触れたら、ぜひ感想をシェアしたり、他のレディオヘッド作品にも目を向けてみてください。新たな音楽体験が、きっとあなたを待っています。