- 曲について
ビートルズの曲「A Hard Day's Night」は、1964年に発売されたシングル曲であり、同名の映画のテーマ曲でもあります。この曲は、レノン=マッカートニー名義となっていますが、実際にはジョン・レノンが一晩で書き上げたものです。
この曲は、ジョージ・ハリスンがリッケンバッカー・360/12で弾いた不協和音のギター・コードから始まります。このコードは、メンバー4人とジョージ・マーティンが演奏したものであり、Fadd9やG7sus4などと表記されることがあります。このコードは、映画とサウンドトラックの両方でオープニング・ナンバーとなる曲だから、特に強くインパクトのあるオープニングにしたかったとジョージ・マーティンは語っています。
曲のキーはGメジャーに設定されており、4分の4拍子となっています。間奏が2つのブリッジにはさまれている構成になっており、「キャント・バイ・ミー・ラヴ」や「ユー・キャント・ドゥ・ザット」と似ています。
歌詞は、一日中働いて疲れ果てた男性が、恋人と一緒に過ごす夜を楽しみにしているという内容です。恋人は彼に何でもしてあげると言ってくれるし、彼女を一人占めできるときが幸せだと歌っています。歌詞には、「sleep like a log」「moan」「get you alone」という英語表現が出てきます。
- sleep like a log:丸太のようにぐっすり眠る
- moan:愚痴をこぼす、不平を言う
- get you alone:一人占めする、二人きりになる歌詞はあいまいで際どい場所もあります。例えば、「When I'm home everything seems to be right / When I'm home feeling you holding me tight, tight」という部分では、「home」が「家」ではなく「恋人のそば」という意味で使われている可能性があります。また、「feeling you holding me tight, tight」という部分では、「抱きしめる」という表現が性的なニュアンスを含んでいるとも解釈できます。
この曲は、ビートルズ初の主演映画「A Hard Day's Night」のために作られました。映画のタイトルは、リンゴ・スターが撮影後につぶやいた「It's been a hard day's night」という言葉に由来しています。この言葉は文法的に間違っていますが、リンゴ独特の言い回しとしてジョン・レノンが気に入り、映画のタイトルと曲のタイトルに決めました。
ジョン・レノンは、映画のタイトルが決まった翌朝に曲を書き上げました。ポール・マッカートニーとどちらがA面の曲やヒット曲を書けるか競っていたそうです。ポールはこの曲について、「ジョンが一晩で書いたんだ。僕は朝起きて彼の家に行ったら、彼はすでに曲を完成させていた。僕はただ彼の曲を聴いて、素晴らしいと思った」と語っています。
- この曲は、ビートルズがアメリカで初めてトップ10入りした3曲のうちの1つです。他の2曲は、「I Want to Hold Your Hand」と「She Loves You」です。
- この曲は、ビートルズがグラミー賞に初めてノミネートされた曲です。1965年に「最優秀パフォーマンス賞(グループ)」と「最優秀楽曲賞」にノミネートされましたが、受賞は逃しました。
- この曲は、ローリング・ストーン誌が選んだ「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」(2010年版)で153位にランクインしました。
- この曲は、ビートルズが1964年から1966年まで行った世界ツアーで毎回演奏されました。また、1965年10月31日にパリで行われたコンサートでは、ジョージ・マーティンがピアノで参加しました。
- この曲は、ビートルズ以外の多くのアーティストにカバーされています。例えば、エラ・フィッツジェラルド、オーティス・レディング、ザ・スプリームス、ザ・ビーチ・ボーイズなどです。The Beatlesの和訳リストは以下
この曲が収録されているアルバムの和訳リストは以下 - 歌詞
A Hard Day's Night
作詞者 レノン=マッカートニー
作曲者 レノン=マッカートニー
It's been a hard day's night, and I've been working like a dog
It's been a hard day's night, I should be sleeping like a log
But when I get home to you I'll find the things that you do
Will make me feel alrightYou know I work all day to get you money to buy you things
And it's worth it just to hear you say you're gonna give me everything
So why on earth should I moan, 'cause when I get you alone
You know I feel okayWhen I'm home everything seems to be right
When I'm home feeling you holding me tight, tight, yeahIt's been a hard day's night, and I've been working like a dog
It's been a hard day's night, I should be sleeping like a log
But when I get home to you I'll find the things that you do
Will make me feel alright, ohSo why on earth should I moan, 'cause when I get you alone
You know I feel okayWhen I'm home everything seems to be right
When I'm home feeling you holding me tight, tight, yeahOh, it's been a hard day's night, and I've been working like a dog
It's been a hard day's night, I should be sleeping like a log
But when I get home to you I'll find the things that you do
Will make me feel alright
You know I feel alright
You know I feel alright
- 日本語訳
一日中大変だった、僕は働きづめさ
一日中大変だった、僕は眠るべきだ
でも、君のところに帰ると、君がすること全てが
僕を元気にしてくれるんだ君にお金を稼いでプレゼントを買ってあげるために一日中働いているんだ
だから君が何でもくれるって言ってくれるだけでそれが報われるんだ
だからどうして僕が不平を言うんだろう、君と二人きりになれば
僕は大丈夫だって感じるんだ家にいる時、何もかもが順調に感じる
家にいて、君がぎゅっと抱きしめてくれる感じ、うん一日中大変だった、僕は働きづめさ
眠るべきなのに、まるで丸太みたいに眠れない
でも、君のところに帰ると、君がすること全てが
僕を元気にしてくれるんだ、おおだからどうして僕が不平を言うんだろう、君と二人きりになれば
僕は大丈夫だって感じるんだ家にいる時、何もかもが順調に感じる
家にいて、君がぎゅっと抱きしめてくれる感じ、うんおお、一日中大変だった、僕は働きづめさ
眠るべきなのに、まるで丸太みたいに眠れない
でも、君のところに帰ると、君がすること全てが
僕を元気にしてくれるんだ
僕は元気だって感じるんだ
僕は元気だって感じるんだ
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文法の解説
It's been a hard day's night,
ここでの"It's been"は「それは〜であった」という過去形を表しています。
"a hard day's night"は直訳すると「一日中難しい夜」ですが、この場合は「長くてつらい一日」を指しています。
"day's night"は比較的珍しい表現で、「一日中(昼も夜も)働いている」状況を強調しています。and I've been working like a dog
ここでの"I've been working"は現在完了進行形を表しており、「ずっと働いてきた」という意味になります。
"like a dog"は直訳すると「犬のように」となりますが、この場合は「一生懸命に、非常に努力して」という意味のイディオムです。
なので全体としては「僕は一生懸命働いてきた」または「僕は疲れ果てるまで働いてきた」という意味になります。I should be sleeping like a log
"should" は「~すべきだ」や「~するはずだ」という意味を持つモーダル動詞です。
「sleeping like a log」は英語のイディオムで、「深く眠る」または「ぐっすり眠る」を意味します。「log」は木材の丸太を指し、これが動かない様子から深い眠りを表現しています。
なので全体を訳すと、「私はぐっすりと眠るべきなのに(そうでない)」となります。But when I get home to you I'll find the things that you do Will make me feel alright
「But when I get home to you」:「でも、あなたの元に帰るとき」という意味です。「But」は接続詞で、「しかし」や「だけど」という意味を表します。「When I get home to you」は未来の時間を指しており、「I」が「you」の元に帰る時を指しています。
「I'll find the things that you do」:「あなたがやることを見つけるでしょう」という意味です。「I'll」は「I will」の短縮形で、未来を指しています。「find」は「見つける」や「発見する」を意味する動詞です。「the things that you do」は「あなたがやること」を指しており、「that」が後ろの「you do」を修飾しています。
「Will make me feel alright」:「私を元気にしてくれるでしょう」という意味です。「Will」は未来を指しています。「make」は「作る」や「作り出す」という意味の動詞ですが、ここでは「私を元気にする」という結果を生み出すという意味で使われています。「feel alright」は「元気に感じる」や「大丈夫だと感じる」という意味です。
なお、全体としては、「でも、あなたの元に帰ると、あなたがすること全てが私を元気にしてくれるだろう」という意味になります。
You know I work all day to get you money to buy you things
「You know」: このフレーズは、「あなたは知っている」という意味で、話し手がリスナーが既にその情報を知っていると仮定しています。言い換えると、「確かにあなたは」という意味になります。
「I work all day」: 「私は一日中働いている」。主語が「I」(私)、動詞が「work」(働く)、副詞が「all day」(一日中)という単純な現在形の文です。
「to get you money to buy you things」: 「あなたに物を買うためのお金を得るために」。「to + 動詞」は目的を表し、「get you money」(あなたにお金を得る)と「buy you things」(あなたに物を買う)は話し手がリスナーに対する目的を示しています。And it's worth it just to hear you say you're gonna give me everything
「And it's worth it」: この表現は「それはそれだけの価値がある」または「それはその労力や時間を費やすだけの価値がある」という意味になります。「it」は後続の「to hear you say...」という文脈によって指される内容を指しています。
「just to hear you say」: 「あなただけが言うのを聞くために」という意味です。ここでの「just」は「たった、ただ」といった意味で、特定の行動を強調しています。「you're gonna give me everything」: 「you're gonna」は「you are going to」の口語的な短縮形で、「〜するつもりだ」または「〜する予定だ」という未来を示します。「give me everything」は「私にすべてをくれる」という意味です。
したがって、全体としてこのフレーズは、「あなたが私にすべてをくれると言うのを聞くだけで、それはその価値がある」という意味になります。
So why on earth should I moan, 'cause when I get you alone
「So why on earth should I moan」: 「なぜ一体私が嘆くべきなのか」という意味です。「why on earth」は強調表現で、「一体なぜ」という意味になります。「moan」は「嘆く、愚痴を言う」という意味ですが、ここでは比喩的に「不満を言う」の意味になります。
「'cause when I get you alone」: 「なぜなら、私があなたを一人にするとき」という意味です。「'cause」は「because」の口語的な短縮形で、「なぜなら、なぜかというと」の意味になります。「get someone alone」は「誰かを一人にする、誰かと二人きりになる」という意味です。
したがって、全体としてこのフレーズは、「なぜ一体私が不満を言うべきなのか。なぜなら、私があなたと二人きりになるとき」という意味になります。You know I feel okay
「You know」: 「あなたは知っている」または「あなたが知るべきこと」という直訳の意味になりますが、ここでは話し手が自身の感情や意見を強調するためのフレーズとして使われています。「You know」はしばしば英会話で使われるフレーズで、「実は」「確かに」「ほらね」などの意味に近いです。
「I feel okay」: 「私は大丈夫だと感じる」または「私は気分がいい」という意味です。「feel」は「感じる」という動詞で、ここでは自身の気分や状態を表現しています。「okay」は「大丈夫」「良い」「満足している」などの意味です。
したがって、全体としてこのフレーズは、「私は大丈夫だと感じている、それをあなたは知っているべきだ」という意味になります。When I'm home everything seems to be right
「When I'm home」: 「私が家にいる時」を意味します。「When」は「~のとき」を表す接続詞で、「I'm home」は「私が家にいる」という状態を表しています。
「everything seems to be right」: 「全てのことが正しいように思える」を意味します。「seems」は「~のように思われる」、「to be right」は「正しいである」という意味です。
したがって、全体としてこのフレーズは、「私が家にいるとき、全てがうまくいっているように感じる」という意味になります。When I'm home feeling you holding me tight, tight, yeah
「When I'm home」: 「私が家にいる時」を意味します。「When」は「~のとき」を表す接続詞で、「I'm home」は「私が家にいる」という状態を表しています。
「feeling you holding me tight」: 「あなたにぎゅっと抱きしめられている感じ」を意味します。「feeling」は感じること、「you holding me tight」はあなたが私をぎゅっと抱きしめるという動作を表しています。
したがって、全体としてこのフレーズは、「私が家にいるとき、あなたにぎゅっと抱きしめられる感じ、それは最高だよ」という意味になります。