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【和訳文法】King Crimson-21th Century Schizoid Man

King Crimsonの曲「21th Century Schizoid Man」は、1970年に発表されたプログレッシブ・ロックの名曲です。激しいギターとサックスのリフ、複雑な曲構成、社会批判的な歌詞が特徴で、多くのミュージシャンに影響を与えました。


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曲の解説 

 キング・クリムゾンは、1969年にデビューしたイギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドです。彼らのファースト・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』に収録されている「21th Century Schizoid Man」は、彼らの代表曲のひとつであり、ロックとジャズを融合させた斬新なサウンドと、当時の不安な世相を反映した歌詞が話題を呼びました。

 「21th Century Schizoid Man」は、7分20秒の長尺の曲で、以下の4つのパートから構成されています。

- 21st Century Schizoid Man
- Mirrors
- 21st Century Schizoid Man (Reprise)
- Schizoid Men


 最初のパートは、4分の4拍子で始まります。ボーカルはグレッグ・レイクが担当し、歪んだギターとサックスが重なり合います。歌詞は、ピート・シンフィールドが書きました。彼は、ベトナム戦争や核戦争などの暴力や破壊によって、21世紀の人間が精神的に分裂した状態になるというディストピア的な未来像を描きました。例えば、「無垢な人々がナパーム弾の炎でレイプされる」「子供たちは血を流す」「彼が持っているものに彼が本当に必要なものは何ひとつない」というフレーズがあります。

 次のパートは、ミラーズと呼ばれます。ここでは、8分の6拍子に変わります。イアン・マクドナルドがサックスでソロを奏でます。このソロは、ジャズやフリー・ジャズの影響を受けており、非常に高度なテクニックが要求されます。マクドナルドは、この曲を録音する前に、ジョン・コルトレーンエリック・ドルフィーなどのジャズ・ミュージシャンのレコードを聴いてインスピレーションを得たと言われています。

 その後、最初のパートが再び繰り返されます。ここでは、ボーカルが省略されており、ギターとサックスが主役となります。ロバート・フリップがギターでソロを弾きます。彼は、この曲で使用したギターについて、「私は1969年にデビューした時に使っていたギブソンレスポールを使っています。それは非常に重くて硬いギターでした。私はそれを弾くために力を使わなければなりませんでした。それは私にとって苦痛でしたが、同時に挑戦でもありました」と語っています。

 最後のパートは、シゾイド・メンと呼ばれます。ここでは、フリー・テンポになります。ドラムスのマイケル・ジャイルズが、激しいリズムを刻みます。このパートでは、ギターとサックスがフィードバックやノイズを発生させます。これは、当時のロック・ミュージックにおいて、まだ珍しい手法でした。この曲は、このパートで終わります。


 「21th Century Schizoid Man」は、プログレッシヴ・ロックのみならず、ヘヴィメタルプログレッシヴ・メタルなどのジャンルにも大きな影響を与えました。例えば、メタリカメガデスなどのスラッシュメタル・バンドは、この曲のリフやサウンドに触発されたと言われています。また、ヴォイヴォドやエントゥームドなどのエクストリームメタル・バンドは、この曲をカバーしています。

 この曲は、ロック以外のジャンルにも影響を与えました。例えば、カニエ・ウェストは、2010年に発表したアルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』に収録されている「Power」という曲で、この曲をサンプリングしています。また、ブラック・ミディというイギリスのエクスペリメンタル・ロック・バンドは、2022年に発表したEP『Cavalcovers』に収録されている「21st Century Schizoid Man」という曲で、この曲をカバーしています。

 
 「21th Century Schizoid Man」は、キング・クリムゾンが1969年に録音した最初の曲です。彼らは、この曲を録音する前に、ローリング・ストーンズのプロデューサーだったジミー・ミラーと会っていました。彼は彼らに、「あなたたちは素晴らしいバンドだが、あなたたちの音楽は商業的ではない。あなたたちは売れることはないだろう」と言ったと言われています。これに対して、キング・クリムゾンは、「それでも構わない。私たちは自分たちの音楽をやりたいだけだ」と答えたと言われています。

 また、「21th Century Schizoid Man」は、キング・クリムゾンが1969年7月5日に行ったハイドパークでのフリーコンサートで初めて披露されました。このコンサートでは、彼らはローリング・ストーンズの前座を務めました。当時まだ無名だったキング・クリムゾンは、「21th Century Schizoid Man」を含む4曲を演奏しました。その圧倒的なパフォーマンスによって、彼らは一躍注目を集めました。このコンサートの様子は、YouTubeで見ることができます。

 

文法の解説

Cat's foot, iron claw
Neuro-surgeons scream for more
At paranoia's poison door
21st century schizoid man
Blood rack, barbed wire
Politician's funeral pyre
Innocents raped with napalm fire
21st century schizoid man
Death seed, blind man's greed
Poets starving, children bleed
Nothing he's got he really needs

単語:
Cat's foot, iron claw: 比喩的表現で、力と支配を象徴している可能性があります。
Neuro-surgeons scream for more: 神経外科医がもっと多くを求めて叫ぶ。医療界の圧力や要求を暗示しているかもしれません。
Paranoia's poison door: 偏執病の毒の扉。恐怖や不信感を象徴しています。
Schizoid man: 分裂症的な人。孤立や疎外感を感じている人物を指します。
Blood rack, barbed wire: 拷問器具と有刺鉄線。戦争や暴力のイメージを呼び起こします。
Politician's funeral pyre: 政治家の葬儀のたき火。政治的な失敗や死を示唆しています。
Innocents raped with napalm fire: ナパーム火によって蹂躙される無実の人々。戦争の恐怖と犠牲を表しています。
Death seed, blind man's greed: 死の種、盲目の人の欲望。破壊と欲望の循環を暗示しています。
Poets starving, children bleed: 飢える詩人、出血する子供たち。芸術と無力さの犠牲を象徴しています。

文法:
21st century schizoid man: 「21世紀の分裂症的な人」というフレーズは、現代社会の孤独や疎外感を強調しています。繰り返し使われることで、このテーマを強化しています。

和訳:
猫の足、鉄の爪
神経外科医はもっと叫ぶ
偏執病の毒の扉で
21世紀の分裂症的な人
血の拷問器具、有刺鉄線
政治家の葬儀のたき火で
無実の人々はナパーム火で蹂躙される
21世紀の分裂症的な人
死の種、盲目の人の欲望で
飢える詩人、出血する子供たち
彼が持っているものは本当に必要ない

文章全体の意訳:
この歌詞は、21世紀の社会における暴力、孤独、欲望、そして人間の疎外感に対する深い批判を表しています。分裂症的な人々、つまり現代社会において内面的に分裂し、孤立し続ける人々の象徴を通じて、社会の不条理と矛盾を鋭く指摘しています。戦争、政治の失敗、無実の犠牲者、そして文化や人間性の喪失が、この混沌とした現代の風景を形作っています。最終的に、この歌詞は、現代人が直面している根本的な問題と内面の闘いを、鮮やかで生々しいイメージを用いて描き出しています。