King Crimsonの曲「Matte Kudasai」は、1981年のアルバム「Discipline」に収録された美しいバラードです。ロバート・フリップのギターとエイドリアン・ブリューのボーカルが印象的な曲で、日本語のタイトルは「待ってください」という意味です。この曲は、King Crimsonのプログレッシブ・ロックとニュー・ウェイヴの融合を象徴する作品のひとつです。
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曲の解説
「Matte Kudasai」は、1981年に発売されたKing Crimsonの8枚目のアルバム「Discipline」に収録されています。このアルバムは、1974年に一度解散したKing Crimsonが、1981年に新メンバーを加えて再結成した際の第一弾作品でした。新メンバーは、ギターとボーカルを担当するエイドリアン・ブリュー、ベースとスティックを担当するトニー・レヴィン、ドラムを担当するビル・ブルーフォードでした。もちろん、ギターとリーダーを務めるロバート・フリップは不動の存在でした。
このアルバムは、King Crimsonの音楽性に大きな変化をもたらしました。それまでのKing Crimsonは、シンフォニックな要素やヘヴィな要素が強かったのですが、「Discipline」では、ニュー・ウェイヴやミニマル・ミュージックなどの影響を受けて、よりポップで複雑なサウンドになりました。特に、フリップとブリューのギターが絡み合うポリリズムやポリトナリティは、聴く者を圧倒しました。また、レヴィンのスティックとブルーフォードのドラムも、独特のグルーヴを生み出しました。
そんな中で、「Matte Kudasai」は、アルバム中唯一のバラード曲でした。この曲は、ブリューが歌う日本語のタイトルが印象的ですが、実はその由来にはいくつかの説があります。一つは、ブリューが日本人の女性と恋愛関係にあったという説です。ブリューは1980年にFrippのバンド「The League of Gentlemen」(ザ・リーグ・オブ・ジェントルメン)で来日した際に、日本人の女性と出会いました。その女性と別れる際に、「待ってください」と言われたことが印象に残ったということです。もう一つは、ブリューが日本文化に興味を持っていたという説です。ブリューは日本映画や日本食などに魅了されており、「Matte Kudasai」はその表現だったということです。
「She waits in the air / Matte kudasai / She sleeps in a chair / In her sad America」という歌詞は、彼女が日本にいることを示しています。また、曲の冒頭と終盤には、ブリューがスライドとエコーを使ってカモメの鳴き声を模したギターを弾きます。これは、彼が海辺で彼女と過ごした思い出を表しています。
「Matte Kudasai」は、フリップのギター・シンセサイザーも重要な役割を果たしています。この曲は、元々フリップが1979年に発表したソロ・アルバム「Exposure」に収録された「North Star」という曲のリフから発展したものでした。「North Star」は、ダリル・ホールが歌っていた曲でしたが、「Matte Kudasai」では、フリップがそのリフをギター・シンセサイザーで演奏しました。その結果、曲に幻想的な雰囲気を与えました。
「Matte Kudasai」は、アルバム「Discipline」からの第一弾シングルとして発売されましたが、残念ながらチャート入りはしませんでした。しかし、この曲は多くのファンや音楽家に愛されており、数々のカバー・バージョンが存在します。例えば、元King Crimsonのドラマーイアン・ウォレスが率いたジャズ・グループ「Crimson Jazz Trio」や、ジャズ・シンガーのカート・エリング、カナダの歌手ケイディ・ラングなどが、「Matte Kudasai」をカバーしています。
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文法の解説
Still, by the window pane
Pain, like the rain that's falling
She waits in the air
Matte Kudasai単語:
Still: 「まだ」という意味の副詞。
window pane: 「窓ガラス」という意味の名詞句。
Pain: 「痛み」という意味の名詞。
like: 「〜のような」という意味の前置詞。
rain: 「雨」という意味の名詞。
falling: 「降る」という意味の動名詞。
waits: 「待つ」という意味の動詞。
in the air: 「空中に」という意味の前置詞句。
Matte Kudasai: 日本語で「待ってください」という意味。
文法:「Still, by the window pane」は、状況を描写する句です。
「Pain, like the rain that's falling」は、痛みを雨にたとえる比喩を用いた表現です。
「She waits in the air」は、現在形を用いて彼女の状態を示す文です。
「Matte Kudasai」は、日本語の表現で、命令形です。
和訳:まだ、窓のそばに
痛みは、降っている雨のよう
彼女は空中で待っている
待ってください
文章全体の意訳:この歌詞の部分は、窓のそばで静かに待ち続ける女性の心情を描いています。「まだ、窓のそばに」というフレーズは、彼女が何かを待ち続けている状況を示しています。「痛みは、降っている雨のよう」という表現は、彼女が感じる心の痛みが絶え間なく降り続ける雨のようだと表現しています。「彼女は空中で待っている」という言葉は、彼女が現実とは異なる、あるいは心の中の世界で待っていることを暗示しています。「待ってください」という日本語のフレーズは、切実な願いや深い感情を表しており、彼女の静かながらも切実な待ち望む心情を象徴しています。この部分は、静寂の中での深い感情と待ち続ける心情を歌っています。
She sleeps in a chair in her sad America
When, when was the night so long
Long, like the notes I'm sending
She waits in the air
Matte Kudasai単語:
She sleeps: 「彼女は眠る」という意味の動詞句。
in a chair: 「椅子で」という意味の前置詞句。
her sad America: 「彼女の悲しいアメリカ」という意味の名詞句。
When: 「いつ」という意味の疑問詞。
night: 「夜」という意味の名詞。
so long: 「とても長い」という意味の副詞句。
like the notes I'm sending: 「私が送っている音符のように」という意味の比喩表現。
waits: 「待つ」という意味の動詞。
Matte Kudasai: 日本語で「待ってください」という意味。
文法:「She sleeps in a chair in her sad America」は、彼女の状況を描写する現在形の文です。
「When, when was the night so long」は、過去の出来事に対する疑問を表す文です。
「Long, like the notes I'm sending」は、彼女の感じる時間の長さを彼が送る音符にたとえる比喩を用いています。
「She waits in the air, Matte Kudasai」は、彼女の待ち状態とその切望を表す文です。
和訳:彼女は彼女の悲しいアメリカで椅子に座って眠る
いつ、夜はこんなに長かったのか
長い、私が送っている音符のように
彼女は空中で待っている
待ってください
文章全体の意訳:この歌詞の部分は、悲しみに包まれたアメリカで、孤独に耐える女性の姿を描いています。「彼女は彼女の悲しいアメリカで椅子に座って眠る」というフレーズは、彼女の心の孤独と疲れを表しています。「いつ、夜はこんなに長かったのか」という問いは、彼女が経験する時間の遅れと苦痛を示しています。「長い、私が送っている音符のように」という表現は、彼が彼女に向けて送るメッセージの深さと持続性を暗示しています。「彼女は空中で待っている、待ってください」という言葉は、彼女が静かながらも切実に何かを待ち望んでいる状態を表しています。この部分は、彼女の内面の悲しみと、彼女が抱える深い感情を歌っています。
She sleeps in a chair in her sad America
She waits in the air
Matte Kudasai
She sleeps in a chair in her sad America
同上
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日本語訳
まだ、窓のそばに
痛みは、降っている雨のよう
彼女はその中にいる
待ってください
彼女は椅子で眠る、悲しきアメリカの地で
いつ、夜はこんなに長かったのか
長い、私が奏でる音符のように
彼女はその中にいる
待ってください
彼女は椅子で眠る、悲しきアメリカの地で
彼女はその中にいる
待ってください
彼女は椅子で眠る、悲しきアメリカの地で